管理組合における管理費等の滞納の特徴

管理組合における管理費等の滞納の特徴を、4つほどご紹介いたします。

金額は総じて少ない

管理費と修繕積立金を含めても一般的な管理費等の金額は2万円/月程度です。駐車場を含めても3万円くらいなので、6ヶ月間滞納しても15万円~20万円くらいです。ですからつい放置してしまいがちです。

  • そのうちなんとかなるだろう。
  • 来月の理事会でまた検討しよう。
  • このくらいの金額でうるさく言っても相手に嫌がられるから・・・

といっているうちにだんだん解決が難しくなります。

長期化しやすく、且つ解決しにくい

滞納している人が組合員である以上、管理費等の支払い義務は永久に続き、滞納額は毎月加算されていきます。企業であれば、「取引停止」の措置をとることもできますが、組合員に対してはそうは行きません。 管理費等は、少額といっても毎月たまっていくと支払う意欲がなくなりだからだんだん増えていくことになります。

管理委託を受けている管理会社は、契約(管理仕様)に基づいて督促業務を行いますが、事務的な督促状の送付、不在を承知で電話して留守電にメッセージ、理事会のついでに訪問して「不在でした。」というだけです。何もしないと「契約違反」といわれますから一応は対応しますが、そもそも管理会社の債権ではありませんし、回収できなくても管理会社が困ることはありません。

専門的知識のない理事会は、親身になって考えてくれる専門家に相談することもできず、弁護士さんしか頭に浮かびません。そして高額の弁護士報酬や費用対効果を考えているうちにだんだん長期化して行きます。

管理費等の滞納に関しては、最高裁判所において「時効は5年」という判断がされていますので、管理組合としては長期化させないように対策を検討する必要があります。

再発しやすい

30~40年前に管理組合の役員をやった人に聞いたら、「昔は本当に気の毒な事情がある人だけが滞納する傾向だった。」といいます。

ところが最近は学校の給食費と同様に、支払に対するモラルが低下しています。携帯電話の料金は支払わないと止められるので支払うが、管理費等は滞納しても家を追い出されることはないので後回しになったりします。

私が見る限りでは、督促をして一旦支払った人でも、油断しているとまた滞納を始めます。つまり支払い義務が希薄化していると思います。

しかし、絶対に解決しないと許されない。

管理費等は、全区分所有者の総有財産です。企業のように「不良債権処理」や「債権放棄」は簡単にできません。年金保険料や税金については、法律で免除措置等がありますが、管理費等は一切免除することはできません。どんな事があっても解決しなければならないのです。「かわいそうだから」や、「気の毒だから」といっても必ず回収する義務が管理組合にはあります。

話し合いで解決しない場合は、訴訟をやってでも回収することになります。