管理費滞納問題に対して理事会がとるべき対応のポイント

最後に、管理費滞納問題に対して理事会がとるべき対応のポイントをご紹介いたします。

絶対に毅然とした態度で対応する

「管理費等の滞納」は、最大の義務違反です。
いかなる理由があっても管理組合は毅然とした対応をとることが必要です。

以下、信じられないいくつかの事例をご紹介いたします(本当にあった話です)。

  • 今まできちんと支払っていた組合員が理事になり、滞納の実態を知ったとたんに自分も滞納を始めた。
  • 「100万円までは滞納してもいいと前の理事長と話がついているんだぞ!」管理規約にも「100万までは滞納しても良いと書いてあるはずだ!」
  • 「飼っていた金魚が死んだのは管理組合の掃除が汚いからだ!だから管理費は払わない!」

もちろん上記のようなケースばかりではありませんし、義務違反だからと言って、いきなり恫喝したり、訴訟を起こしたり、ということではありません。

迅速に対応する。訴訟等の法的措置=悪とは限らない

大事なのは、先送りにせず、出来るだけ早い対応を心掛ける、ということです。

話し合いで解決できればそれが一番良いのですが、滞納額が増えるほど難しくなってしまいます。
よくある管理費滞納事例の事例3のように、早い段階できちんと話し合って円満に解決した事例もありますが、もしこれが1年後だったら、もし滞納額が100万円まで膨らんでいたら、きっと同じようにはいかなかったと思います。

解決が長引き、滞納額が膨大になってしまうと一括でも分割でも支払いは難しくなりますし、そうなった時点で訴訟等になってしまうと、必要以上に滞納者やそのご家族を追い込んでしまうことになりかねません。。

例えば、

  • 会社を辞める…
  • 自殺…
  • 離婚…
  • 子供の学校中退…

などに繋がる恐れがあります。

ですから、滞納者を必要以上に追い込まないためにも、出来るだけ早い対応が肝要なのです。
そして、そのために、何らかの法的措置を取ることがベターな場合もあるのです(決して、何でもかんでもいきなり、ということではありません)。

管理費滞納問題は、滞納の是非を問う以前の問題であり、法的措置をとった場合の結果は明白です。
早い遅いに限らず、解決手段として法的措置は極めて有効な手段です。しかし、話し合いで解決することもありますし、内容によっては無駄に終わる場合もあります。
従いまして、法的措置をとる場合は、状況をよくふまえた上で、目的と効果を明確にして行うことが肝要だと考えています。

  • 長期間に渡って放置しておいたため、まずは「時効を中断する」
  • 任意の話し合いでは約束どおりに支払いを行わない誠意のない滞納者ときちんと話し合う場を作るために「訴訟を起こす」
  • 滞納者が管理組合が悪いと主張して平行線のままなので、滞納の是非を理解してもらうために「訴訟を起こす」
  • 滞納者の財産等が把握できている場合において、「競売」「給与差押」「家賃差押」「預金差押」などの「強制執行を行う」

のように、状況に応じて、その目的と効果を明確にして、とるべき手段を選択し、実行するということです。